イギリス王室とシャンパーニュ

ゴールデンウィークも終わり、5月の三分の一が過ぎようとしていますね。

いつものようにワイン情報をチェックしていると先日行われたチャールズ国王の戴冠式に関わるワイン記事をみつけました。

 

記念のシャンパーニュが発売されているとのこと、フランスのシャンパーニュメゾンがなぜイギリスを? とも安易に思ってしまったのだけれど、イギリス王室のシャンパーニュに対する貢献度を考えるとなるほどと納得しました。

 

今でこそワインを生産しているイギリスだけれど、昔は寒くて葡萄が育たないため、ワインは他国から輸入していました。

 

シャンパーニュ地方は、ブドウ栽培の北限ギリギリのとても寒い場所にあります。糖分が乗らず少ないため、普通にワインを造ると酸味がかなりきつかったようです。太陽の光も少なく、色素が乗らないため、赤ワインはロゼのように薄いものでした。そこで、白ワイン造りに励んだわけですが、白ワインだけではなく、黒ブドウも柔らかく絞って白ワインに混ぜて出荷していました。白ワインの酸味をやわらげるため、また、赤ワインとしては他の生産地に品質が劣る為、販売することが難しかったのです。

 

シャンパーニュの「白ワイン」を樽で買ってくれていたのが当時のイギリス。2~3月の極寒のシャンパーニュ地方から樽でロンドンへ送りますが、この頃の気温は低く、発酵が一時停止した状態になります。春になって暖かくなると酵母の活動が再開し発酵が始まります。発酵で出た二酸化炭素がワインに溶け、グラスに注いだ時に泡ができました。

 

1685年、シャンパーニュ地方で初めてコルク栓が登場します。 17世紀、ガラス産業は徐々に進化し、大きな発展を遂げます。 1770年には、より厚く耐性の高いガラス製法によるシャンパーニュ用の新しいボトルが導入されました。 こうして、それまでワインのサービスにのみ使われていたボトルが、ワインの保存にも使われるようになりました。

樽の中で発泡し、すぐに消えてしまうことの多い泡立ちを、瓶の中に閉じ込めることができるようになったのです。 このやや泡立つワインは、一部の貴族階級や富裕層の間で人気を博しました。 このように上流階級がシャンパーニュワインを消費したことで、高級ワインとしてのイメージが定着していったのです。

 

時間が流れ、イギリスの王室の晩餐会などでシャンパーニュが提供されていることをテレビなどのメディアが報道、世界にシャンパーニュがステイタスである飲み物として伝わり、我々のような一般の人もシャンパーニュの存在を知りさらに楽しむようになったわけです。

 

イギリス王室は長い間、シャンパーニュの偉大なる顧客であり、さらに宣伝までしてくれる有難い存在なのだと考えると、記念ボトルや記念ラベルをつくることに納得したのでありました。

 

前置きが長くなりましたが、記念ワインの記事は下記の通りです。

 

 

 

英国のチャールズ国王の戴冠式に伴って、英国ではシャンパーニュやイングリッシュ・スパークリングワインのトリビュート・キュヴェが多く発売されている。


シャンパーニュには7つの王室御用達メゾンがある。ヴィクトリア女王時代の1893年から王室御用達のMoet & Chandonは「Coronation cuvee 2023」(戴冠式キュヴェ 2023)をマグナム瓶でリリースした。

 


アンペリアル・ブリュット・ベースのボトルには「国王陛下の戴冠式を祝うために、この特別なキュヴェを贈ることを誇りに思います」とメッセージを記している。戴冠式をイメージした記念バッジも付いている。96ポンド。

 


王室御用達のボランジェでは、ロンドンのショップが「Coronation of King Charles III」をリリースした。メゾンの公式シャンパーニュではないが、戴冠式の紋章をボトルに刻んでいる。72ポンド。

 



公式シャンパーニュは「Fortnum & Mason Coronation Brut Selection」だ。モンターニュ・ド・ランスのベルに本拠を置く家族ドメーヌのジャック・ピカールがオーガニック栽培で造るクラシック・ブレンド。45ポンド。

 

 

 

近年は公式晩餐会にも使われるイングリッシュ・スパークリングワインも黙っていない。王室御用達のナイティンバーはクラシック・ブレンドの「Coronation Limited Edition 2023」を発表した。


国王が所有するグロスターシャー州のハイグローヴ農園は「Coronation Collection」(戴冠式コレクション)として、「Royal Collection Coronation 2023 English Sparkling Wine」をリリースした。ガズボーンのクラシック・ブレンド、ブラン・ド・ブランなど3種のキュヴェのセット。収益は慈善事業に使われる。


また、チャペル・ダウン・ワイナリーは、2000本限定の「Chapel Down Coronation Edition 2016」を発売した。ラベルにはユニオンジャックと公式戴冠式ロゴが描かれている。売り上げが軍隊を支援する慈善団体「英国王立軍団」に寄付される。

 

WINE REPORTより抜粋

 

 

 

モエ・エ・シャンドンヴィクトリア女王時代の1893年から王室御用達と記事にあります。計算してみると130年ものお付き合い、ありがたいありがたいお客様なのですね。

 

マグナムボトルというが如何にもおめでたい感じ。1ポンドが大体170円ほどで1万6~7千円と考えると高くはないようですね。王室ファンの上の世代の方たちがお祝いに購入されたのかしら、なんて思います。

 

シャンパーニュとイギリス王室の関係をさかのぼる良いきっかけをいただきました。

遅ればせながら、おめでとうございます!

 

 

 

 

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