マンズワイン 氷温しぼり シャルドネ 1992

先日、お客様よりご連絡をいただきましてね。
「桜の花が咲き始めたのでお花見をしようかしら、甘口の古酒で気になるワインがあるのだけれど、どうかしら」と。

甘口ワインの好きなマダム、以前の店舗時代からのお客様です。問い合わせいただいたのは、「マンズワイン 氷温しぼり シャルドネ」、二年くらい前に開けてみたのですが、きちんとコメントを取っていなかったので、在庫のある1992,1995,1996のうち、一番古い年号のワインを開けてみました。

 

 

マンズワイン 氷温しぼり シャルドネ 1992

キャップシールを開け、コルクを少しずつ引き抜く過程で甘いブランデーの香りがしてきました。コルクの状態は良く、そっとそっと引き上げると割れずに奇麗に抜くことが出来ました。グラスを傾けてみます、色調は中程度、粘土はそれほど高くありません、少し黄色の残る茶色、紅茶のような色合いです。

香りの強さは中程度、熟した和梨を思わせる香りが印象的、甘酸っぱさを思わせるバルサミコの要素も、淡いブランデーや蜂蜜、べっこう飴のニュアンスも感じられます。

ワインを口に含むと最初に豊かな甘さが、とろりと甘い印象がありますが、ベタっとしたものではなく、和三盆を思わせる上品で豊かな甘みです。続いて心地よいしっかりとした酸味が続き、甘酸っぱい美味しさを感じさせてくれます。この甘酸っぱさは栗尾エクストラ紫音、アイスワインの特徴、ワインのつくりを背景に感じさせてくれるバランスのよい甘口、デザートワインです。

味わいの主軸は冒頭の熟した梨の風味で、和梨の他にラ・フランスなどの洋ナシの要素も楽しめます。梅酒のような甘酸っぱさもあり、複雑です。30年以上の時を経ているので、枯れた印象が前面に出ているかと想像しましたが、元気です。素晴らしく美味、上品に熟成しています。色だけを見ると枯れた印象を持ちますが、味わってみると当初の印象を良い意味で裏切られました。

 

30年以上の時を経たワインを試飲するのは流石に勇気が要ります。在庫も少ないですし、もちろん市場にはありません、特に今回は甘口、極甘口というデザートワインのカテゴリーです。テイスティングの後はワインを楽しむのですが、今回は30年もの時を経ています、残せば劣化する可能性はかなり高いのです。飲食店を営んでいた時は「プライベートプリザーブ(ワイン保存用ガス)」を用意していましたが、今は手元にありません。

ワインのテイスティングコメントにも書いていますが、このワインには甘さもありますが、しっかりとした酸味も備えています。この酸味が素晴らしくいい仕事をしています、飲み飽きしないのでした。ブルーチーズやサラダ、キッシュなどを用意して楽しみましたが、一本ぺろりと飲んでしまいました。本当によい状態で熟成しております。

ボトルの裏ラベルには次のようなメッセージがありました。

長野県の契約栽培地で収穫されたシャルドネ種100%の極甘口のワイン。収穫した葡萄を̠-20℃で冷凍し、その状態のまま時間をかけて圧搾します。この方法で通常より高糖度の果汁をつくり、それを醸造しました。この方法がクリオ・エクストラクション法(氷温しぼり)です。ワインは、フルーティーなタイプ。長い熟成に耐えられるワインです。

このワインがリリースされた当時、私はこのワインがどのくらいの生命力を持っているのか判断できませんでした。知識に頼りがちな、頭でっかち、圧倒的にワインに触れる経験値が少なかったと思われます。でも、逆にメッセージの最後にある「長い熟成に耐えられるワインです。」という言葉を信じる素直さはもっていたのかもしれません、若さの特権ですね。

クリオ・エクストラクション法はアイスワインと同等のつくり方ですが、ドイツの自然に凍るアイスワインとは異なり、人工的に葡萄を凍らせてつくる方法です。30年以上前なら今のように表記がうるさくなかったので、「アイスワイン」と表示した方が売りやすかったとも思うのですが、ドイツの本物のアイスワインに敬意を表したのと、日本でアイスワインをつくってみました、という意思の表れで「氷温しぼり」と命名したのか、想像すると律儀で真摯な生産者さんのこだわりが見えてくる気もいたします。

葡萄をつくってくれた農家さん、ワインにしてくれた生産者に感謝と賞賛を!

 

 
※ワインのコメントは十人十色、あくまでも参考程度に読んでいただければ幸いです。

 


テイスティングしたワインの詳細はホームページ「konishi1924」をご覧くださいませ、購入もできますよ。
マンズワイン 氷温しぼり シャルドネ 1992

 

 

美味しいワインのネットショップ「konishi1924」もよろしくお願いします。

 「konishi1924」

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